許斐 健二先生(慶應義塾大学病院 臨床研究推進センター 副センター長 再生医療等支援部門・トランスレーショナルリサーチ部門長 教授)より応援メッセージをいただきました
許斐 健二先生(慶應義塾大学病院 臨床研究推進センター 副センター長 再生医療等支援部門・トランスレーショナルリサーチ部門長 教授)からのメッセージ
小泉範子教授と奥村直毅教授率いる研究チームは、角膜内皮障害の革新的な治療法の開発を続けています。角膜内皮障害は、眼球の透明な部分である角膜が白く濁り、重度の場合はほぼ失明に近い状態に至ります。現在の治療法は、亡くなった方から提供される角膜の移植手術しかありませんが、小泉教授と奥村教授が取り組まれている再生医療による細胞移植と点眼薬による新たな治療法は、どちらも世界をリードする医療技術です。
特に注目すべきは、再生医療による細胞移植で、これが実現すれば、角膜移植に代わる画期的な治療法となり、眼科医療における大きな夢の一つが叶うことになります。
さらに、世界の角膜移植の約40%を占めるフックス角膜内皮ジストロフィの治療法も、現時点では角膜移植しか選択肢がありませんが、両教授による薬剤の開発は、日本のアカデミア発の研究シーズを基に、アメリカ、フランス、インドで第Ⅱ相試験まで進んでいます。
これら2つの製品の開発は、これまでの治療法を根本的に変える可能性を持ち、大きなインパクトを与えるでしょう。私自身も以前は角膜内皮細胞の研究に携わっていましたが、小泉教授と奥村教授は20年以上、一歩一歩着実に研究開発を進められ、あともう少しのところまで来ています。これは素晴らしいことであると同時に、計り知れない努力と決して諦めない強い想いがあってのことと想像しています。大学でアカデミア発の橋渡しシーズを社会に届けるための支援をする側から見ても、小泉教授と奥村教授の取り組みは、眼科医療に革命をもたらすと共にビジネスとして高い発展性を持ち、最終的に多くの患者さんに福音をもたらすものと確信しています。日本のアカデミア、スタートアップ、そして医療の発展のために、心から応援しています。